2015年2月24日火曜日

ピアノと化学物質

よくリビングなどにおかれているピアノは化学物質を放散しているのでしょうか。

ピアノの主たる材料は<木>で、ピアノ全体の重量の5457%位といわれています。主に使われる樹種は「スプルース」、「楓」です。スプルースは楽器部材の中で一番比重が0.49と小さく、音響伝播速度が鉄より速いという特性があります。

しかし、かっては全て木材で作られていましたが、素材を厳選し高度な加工技術が必要なことから、プラスチックが木材の欠点を補う素材として使われるようになってきました。この樹脂はポリアセタール樹脂、ABS樹脂など軽量で強靭な素材が中心ですが、ガラス繊維、カーボン等の強化剤入りプラスチックも使用されています。更にピアノメーカーによっては人工象牙(ファインアイボリー)や人工黒檀(ファインエボニー)を鍵盤として使っています。

ピアノの主流を占めている黒塗りピアノの塗装は、かっては「漆塗り」を施していましたが、現在ではポリエステル塗料を使っています。また、外観の美しさを特長とする木目調のピアノでは、ピアノの表面に薄い「マホガニー」、「ウォルナット」、「チェリー」などの薄い化粧板が貼られています。

Y社では2003年に【製品に関する化学物質の含有基準】を設け、更に2006年から、EU加盟諸国で適用されている【電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限(RoHS)】指令の対応を準備し、その対応を完了したとの事です。
また、自動車内装部品も生産している関係から、EUが定めた廃自動車指令(ELV)に適用できるよう資材調達先に確認をしています。

電子楽器の化学物質を削減するため、外部委託している塗装工程にPRTR法対象物質であるトルエン、キシレンの含有量の少ない塗料を採用しているとの事です。

これらの取り組みを通じて、Y社は生産工程から排出される化学物質は、製品の塗装・接着時に発生するVOCが中心で、2000年度比30%削減を2010年度に達成しています。一部部品の塗料について有機溶剤含有のものから、水性塗料への切り替えも進め、局所排気装置が不要になったり、作業環境が改善し、省エネ効果も出ているとの事です。


どのメーカーからも化学物質のデータは公表されていませんが、室内でのピアノに対する化学物質減衰処置はピアノの鏡面仕上から難しく、生産過程での更なる減衰が望まれます。



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