2015年1月27日火曜日

PM2.5とぜん息発作・黄砂と緊急搬送

兵庫医科大の島正之主任教授は、大気中の微小粒子状物質「PM2.5」に含まれている特定の物資が、ぜん息の発作と関連していることを突き止めたと発表しました。20088月から20133月にかけて姫路市内でPM2.5の濃度や含まれる成分と、ぜん息発作の関連を調査。

その結果、石炭や石油の燃焼で排出される「硫酸イオン」がぜん息の発作と関連があることが判明したとのことです。

大気1㎥当りのPM2.5濃度が環境基準値の1日平均3.5μg(マイクログラム)を、週1日超えただけで、ぜん息発作の率が全年齢で7%、014歳児では13%増加、さらに成分を分析したところ、硫酸イオンが含まれていた場合は発作の率が10%高くなるという結果が出ました。
子どもは身体が小さいうえ、屋外にいる時間が比較的長いことからなど、大気汚染の影響を受けやすいと言われています。また、硫酸イオんは国内での排出に加え、石炭利用の多い中国などから飛来している可能性も考えれてます。

島教授は今回の調査を踏まえ「硫酸イオンとぜん息の関連は判明したが、個人の努力で影響を避けるのは困難。大人や社会が責任を持ち、国を超えて大気汚染防止対策を強化すべきだ」と指摘しています。

昨年には国立環境研究所の上田佳代主任研究員らが、中国大陸から飛来する黄砂の濃度が高い日は緊急搬送の数が増えるとの研究結果を発表しています。
緊急搬送のデータが充実している長崎市を調査。けがや妊婦を除き2003年から2009年の35月の成人の搬送数約9千件を分析したところ、黄砂濃度が高い日は黄砂がない日に比べ搬送数は12%多く、心臓病と脳卒中の循環器疾患に限ると21%も増えたとのことです。
上田主任研究員は「黄砂と共に飛んでくる大気汚染物質が影響している可能性がある」としています。

また、黄砂を含む大気の飛来ルートを解析したところ、大陸沿岸の工業地帯を2キロ未満の高度で通ってきた日の方が、上空を通ってきた日より搬送数が多い傾向があり、福岡県内の病院に入院した脳梗塞の患者を対象とした調査では、特定タイプの脳梗塞は発症が30%増えたとの結果も報告されています。

いずれにしても、PM2.5の飛来が大きく報道されるようになり数年が経過しましたが、発生源と言われる、中国での規制は大きくは進んでいないようです。
日本では高性能フィルターの開発・商品化など「防御システム」はかなり進みましたが、根本の発生源の抑制が滞り、抜本的な解決への道筋はまだ見えていません。


これからの時期ますます黄砂などの飛来が多くなります、外出時のPM2.5対応マスクの着用や、帰宅時の衣服へのケア、そして室内への外気の取り込みなど注意が必要です。また、換気を控えた時など、室内空気環境改善にも取り組みましょう。



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