2014年12月18日木曜日

東日本大震災 津波経験の子どもにアトピーなど高い発症率

東北大学の東北メディカル・メガバンク機構(仙台市)では1217日、宮城県内の小中学生を対象に行った健康調査で、東日本大震災で津波を経験した子供や、居住環境が変化した子供は、アトピー性皮膚炎や心の問題を抱える割合が比較的高いとする調査結果を発表しました。

調査対象は、県内25市町村の公立小中学校等の児童生徒21千人弱にアンケートを配布し、保護者が記入し6,500人弱から回答がありました。

調査では、アトピー性皮膚炎を発症していたのは、津波経験のない子供が20.5%に対し、経験のある子供が24.5%。
震災後の居住環境に変化がない子供が20.4%に対し、変化のあった子供は23.1%。
いづれも大震災を経験した子供の発症率が高くなっています。

子どもの精神衛生状態を調べる指標「SDQ」を用いた調査の結果、「支援必要性が高い」とされる16点以上だった子供は、津波経験のない子供が14.8%、経験のある子供が18.4%。居住環境に変化のない子供が14.2%、変化した子供が18.7%でした。
ともに経験のある子、環境の変化があった子供が多くなっています。

同機構の菊谷準教授(疫学)は震災を経験した子供に発症が多いことについて「仮設住宅などに移住して入浴回数が少なくなるなど生活の変化があったり、震災のストレスで症状が悪化したりしたのでは」と分析。SDQの高さについては「震災から3年がたってもまだ子供たちの心に影響が残っていると言える」としています。    (出展:産経新聞)

同機構ではH24年度より宮城県内の小中学生の保護者を対象に「地域子ども長期健康調査」を実施しています。
25年度調査の<こころの健康>についての中で、「居住環境の変化があった子供で、生活の中で心配な行動などの何らかの難しさを抱えていると思われる」子どもは小・中学生で18.9%に上り、毎日の生活で物理的・心理的な生活環境の変化が、大きなストレスになっているようです。

来年3月には被災から満4年が過ぎようとしています。復興住宅の建設も計画の遅れが声高に言われていますが、全体の風潮では記憶そのものがだんだん薄くなりつつあるようです。

一日も早く被災した子どもたちの<こころの健康>が、明るいものになる日が望まれます。


2014年12月10日水曜日

乳幼児突然死症候群(SIDS)・たばこ

乳幼児突然死症候群(SIDS)は、それまで元気だった乳幼児が、事故や窒息でなく眠っている間に突然死亡してしまう病気です。厚労省によれば、日本での発症頻度は出生6,000人~7,000人に1人と推定され、生後2か月から6か月に多いとされています。H23年には全国で148人の赤ちゃんがこの病気で亡くなっています。

SIDSの原因はまだわかっていませんが、男児、早産児、低出生体重児、冬季、早朝から午前中に多いことや、うつぶせ寝や両親の喫煙、人工栄養児で多いことが、H9年度の厚労省「乳幼児死亡の防止に関する研究」で分かっています。

同研究では育児習慣等に留意することで、SIDSの発症リスクの低減が期待されるとしています。主な注意点は次のようです。
・うつ伏せ寝は避ける。
 ・たばこはやめる。
 ・できるだけ母乳で育てましょう。

H9年の調査では、SIDS児はうつ伏せ寝、母乳栄養でない児、両親の喫煙により3.004.83倍多く発生されると結論されています。

たばこについては「たばこはSIDS発生の大きな要因」とし、H9年度研究では、両親が喫煙しない場合の約4.7SIDSの発症率が高いと報告されています。

ある研究では、父、母共に喫煙している場合、両親若しくは母親が喫煙していない場合より、SIDSを引き起こす確率は47倍に増えるとされています。
さらに、母親の一日あたりのたばこの本数が増えるほど危険率は上昇、1日当り20本を超える場合、19本未満の時よりも1.4倍に、両親が喫煙し20本以上の場合、両親とも喫煙していない場合より7倍以上に危険度が上昇しているとされています。

また、妊娠中の喫煙は胎児の体重が増えにくくなり、呼吸中枢にも良くない影響を及ぼすとの事です。また他人の副流煙でも同じような事が懸念されます。

たばこを吸うと、母体の血管が収縮し血流が悪くなり、血液中の酸素が不足し胎盤機能が低下、胎児への栄養や酸素が不足してしまいます。妊娠中にずっと喫煙していた場合、タバコを吸わなかった人に比べて低体重児の発生率は約2.5倍、早産の発生率は約3.3倍になるとも言われています。妊娠中の喫煙の禁止や、副流煙を受けやすい場所へ近寄らないなど、胎児への影響を最小限にとどめましょう。


2014年12月9日火曜日

平成25年「低層住宅の労働災害発生報告」

(一社)住宅生産団体連合会は、会員企業に対し休業4日以上の労働災害発生
状況についてアンケート調査し、平成25年1月~12月の調査結果を公表し
ています。

平成25年の調査概要は、対象企業数598社、完工棟数(新築)17万余棟、リ
フォーム37万棟、解体工事1.9万棟、労働災害発生件数492件です。

労働災害事故は増改築工事では減少したが、新築工事と解体工事では大幅に増
加しており、安全教育の徹底が必要としています。

H25年も建方、内部造作工事における災害発生比率が高いのは前年と同様の
傾向。建て方時の労働災害は全労働災害数の28.7%と約3割近く、次いで内部
造作時が16.7%となっており、建方作業時は安全帯の使用は勿論のこと、墜転
落防護ネットの設置や開口部転落防止措置等の安全設備の充実を図り、適正な
工期の確保や現場入場者に対しては、災害発生防止教育の充実と共に現場で「
不安全行動をしない・させない」の普及啓発が重要であるとしています。

職種別では「大工」の労働災害は全労働災害数の52.8%と半数に達し、次いで
「トビ足場」が10.2%と例年と同様の傾向です。また、「一人親方」の割合が
2年連続で増加し、平成17以降最も高い割合です。「一人親方」等に対し、
万が一の災害補償対策として「労災保険の特別加入制度」等への加入促進が重
要です。

年齢別では平成25年は、平成23年に減少した50歳代及び60歳以上の災
害発生割合が平成24年に引き続き増加し、40歳台についても増加し、40
歳以上で63.4%をしめ、今後も低層住宅に携わる作業者の高齢年化が進むと予
想され、40歳台以上の災害発生比率の増加が懸念されています。

高齢者による労働災害の防止については、高齢者自身の運動能力の低下ならび
に、反射神経の低下を自覚させることが大切で、また、事業主や管理者は高齢
作業者が運動能力を把握するための教育訓練の実施、運動能力低下を意識して
作業を行う事への意識付や高齢作業者の健康状態の把握、高所作業への配慮な
どが必要であると注意を促しております。

平成25年労働災害の大きな要因としては、消費税増税の影響による工事量の
増加、コスト競争による安全対策費の削減、経験豊かで安全知識豊富な高齢作
業者の引退・廃業等での減少、それによる危険感受性・プロ意識の低下等が考
えられると指摘しています。工法別の災害件数のトップが<木造在来軸組>の
183件・37.1%と約4割近くが、在来工法でおきています。

報告にある建て方時、内部造作時の墜転落や工具での事故が多いと思われ、「
墜転落防止」・「工具災害防止」等の教育を徹底し、安全経費(足場等の直接
工事に絡まない経費)につい地域工務店・ビルダーでどこまで年間予算として
計上し、安全対策に時間と費用を掛ける事が、事故防止の観点から重要な事と
思われます。


2014年12月8日月曜日

電子タバコ関連事故が急増

アメリカでは「電子たばこ関連」の事故が急増しているそうです。

電子たばこの詰め替え用の液体ニコチンをめぐる事故が急増し、その大半が子どもに被害がでていると報じられています。

米疾病対策センター(CDC)では、液体ニコチン詰め替えボトルに関する通報は20109月には1件しかなかったが、20142月には214件あったとしています。

調査対象の4年間で、たばこ関連の通報は16.284件あったが、うち電子たばこ関連は2,405件で、その大半は子どもの誤飲事故と報じています。

電子たばこ関連の通報の51%は、5歳未満の幼児で、液体ニコチンを誤飲した、吸い込んだ、皮膚にこぼした、目に入ったなどの事故で、最も多い症状は嘔吐や吐き気、目の炎症です。
CDCの所長は「電子たばこに関する新たな危険信号だ、液体ニコチンが危険物になり得ることを示す報告」と語っています。

また、電子たばこ用の液体ニコチンには、キャンデーやフルーツなど子どもの興味をそそりやすい風味(フレバー)が付けらているにもかかわらず、容器には子どもの安全への配慮が義務付けされていない点が特に危険としています。

電子たばこ用の液体ニコチンは通常、小さな容器(ボトル)に入れて販売されており、有識者は液体ニコチンの保管場所には「排水管用洗剤や高齢者の高血圧治療薬」と同じ程度の配慮が必要としています。


アメリカに限らず日本でも電子たばこの愛用者は急増しています。厚労省からも家庭用品での、子どもの誤飲、特にたばこの誤飲については34年間たばこが第1位の報告もあります。関連物の置き場には特段の注意をはらいたいものです。


2014年12月5日金曜日

家庭用品による健康被害 幼児のタバコ誤飲34年連続で最多!

厚生労働省は「H24年度家庭用品等に係る健康被害病院モニター報告」を公表しています。
モニター病院(皮膚科・小児科)から毎年報告されているもので、H24年度で報告された事例報告は1.576件(前年度1.491件)です。

今回の報告のポイントは次の3点です。
・皮膚障害は、装飾品(金属製)が29件と最も多く報告された。
・小児の誤飲事故は、タバコが99件と34年連続で最も多く報告された。
・吸入事故等は、殺虫剤が296件、洗浄剤(住宅用・家具用)が175件報告された。

「皮膚障害に関する報告」の件数は90件(前年度119件)で、最も多く報告された家庭用品の種類は「装飾品」で件数は90件です。性別では女性が66件と大半を占めています。また、皮膚障害の種類は「アレルギー性接触皮膚炎」48件と、「刺激性接触皮膚炎」27件がほとんどを占めています。

「小児の誤飲事故に関する報告」の件数は385件(前年度348件)で、最も多く報告された家庭用品の種類は「たばこ」で99件です。誤飲した年齢は生後611ヶ月が最も多く125件、1217ヶ月が85件、1823ヶ月が52件、2歳児が41件です。このうち死亡事故はありませんでしたが、入院・転科・転院した事例は23件となっています。

報告では「事故は家族が小児に注意を払っていても発生、小児のいる家庭では、小児の手の届く範囲ではできるだけ、小児の口に入る大きさのものは置かないように注意を」と呼び掛けています。

「吸入事故等に関する報告」の件数は、1.101件(前年度1.024件)で、最も多く報告された家庭用品の種類は「殺虫剤(医薬品・医薬部外品を含む)で296件です。年齢別では、9歳以下の子どもが最も多く439件と4割近くを占めています。また、製品の形態では、スプレー式の製品が最も多く530件、次いで液体製品が315件です。

報告では「事故の発生状況を見ると、使用方法の・製品の特性について正確に把握していれば事故の発生は防ぐことができた事例や、わずかな注意で防ぐことができた事例も数多くあり、製品の使用前には注意書きをよく読み、正しい使用方法を守ることが重要」としています。


どの事故例も家庭内での家族同士のわずかな気配りで、事故を未然に防ぐことが出来ます。特に乳幼児、小児や高齢者がいる家庭では、手や口に入る位置・高さに危険が予測されるものを置かないなどの対策をとりましょう。