2014年6月30日月曜日

「フレイル」(3)

「フレイル」を放置すると、まず「体力や筋力が低下」し、例えば「日常的に出かけるのが億劫」になり、その結果「人と接する機会が減ったり、食生活がバランスを欠いたもの」となり、「ますます体も衰え」、さらに「頭の働きの低下」といった悪循環が起こります。
そのために「予防する」事が大切です。

「フレイル」の予防は、適度な運動と食生活の組み合わせが重要です。主な予防法は次のことがいわれています。
 ・ストレッチやウオーキングなど適度な有酸素運動。
 ・たんぱく質・ビタミン・ミネラルなどを豊富に含む食事
 ・感染予防(ワクチン接種など)
 ・身体の活動量や認知機能をチェック
 ・手術の後は栄養やリハビリなど
 ・6種類以上の薬を服用している人は主治医と相談

東京都健康長寿医療センターのデータでは、要支援・要介護、認知症などの予防には15000歩を歩き、そのうち730秒を早歩きすると効果があるとの事です。「フレイル」の予防もこの数字が目安とのこと、また、肉や魚、乳製品、大豆など良質なたんぱく質を積極的にとることや、ビタミンやミネラルの摂取も効果的です。

「フレイル」新しい言葉ですが、これからますます増加する高齢者(特に後期高齢者)の多くが「フレイル」を経て要介護状態に陥ると考えられており、早期に予兆を見つけることや、食事や運動による1次・2次予防が重要です。



2014年6月28日土曜日

「フレイル」(2)

「フレイル」に似た概念では、年齢とともに筋力が落ちる「サルコペニア」や、運動機能が低下した状態になる「ロコモティブシンドローム=運動器症候群」も提唱され、フレイルティからサルコペニアに繋がり、ロコモティブシンドロームになっていく可能性は高いと言われています。
これについて京都大学の荒井秀典教授は「フレイルは高齢者に対象を絞り、筋肉以外にも様々な体調不良が表れ、うつ病や認知症など精神的な問題につながる恐れもある」と説明しています。

ある都市での調査では「フレイル」の方が65歳以上で約11%おり、これを全国に当て嵌めてみると約300万人が「フレイル」と想定されますが、荒井教授は介護保険で要支援と認定された人と合わせれば約450万人が推定されるとしています。

日本ではまだ「フレイル」の正式な評価法は現在作成中ですが、米国老年医学会の基準は次のとおりですが、三つが当てはまると「フレイル」と認定しています。
 □1年間で45kg(日本人では23kg)の体重減少
 □疲れやすくなった
 □筋力(握力)の低下
 □歩行スピードの低下

 □身体の活動性の低下


明日も引き続きフレイルについて書いていきます。



2014年6月27日金曜日

「フレイル」(1)

最近「フレイル」と言う言葉を良く聞きます。「フレイル」とはなんでしょう、日本老年医学会は、高齢(75歳以上)になって筋力や活力が衰えた段階を「フレイル」と名付け、予防に取り組む事が必要との提言をまとめました。これまで「老化現象」として見過ごされてきたが、統一した名称をつくることで、医療や介護現場の意識改革を目指しています

この提言は日本老年医学会から、20145月「フレイルに関する日本老年医学会からのステートメント」として発表されました。

その中で従来の「虚弱」に代わる言葉として、「フレイル」と名称を統一しました。この言葉は英語で「虚弱・老衰・脆弱など」の意味を指す【Frailty(フレィティ)】が基となっています。

提言では、「後期高齢者の多くの場合、【Frailty(フレィティ)】という段階を経て、徐々に要介護状態に陥ると考えられており、しかるべき状態での介入で再び健常な状態に戻る可能性があり、Frailtyに陥った高齢者を早期に発見し介入することにより、生活機能の維持・向上を図れる」とあります。


また、この概念は「多くの医療・介護専門職にほとんど認識されておらず、介護予防の大きな障壁であるとともに、臨床現場での適切な対応を欠いている。」とし、関係者の意識の向上を求めています。


明日も引き続きフレイルについて書いていきます。


2014年6月26日木曜日

「アレルギー疾患対策基本法」(3)

基本的施策では国民の認識を深めるため必要な施策を行うとともに、「生活環境の改善」として、重症化の予防及び症状の軽減に資するため、大気汚染の防止、森林の適切な整備、アレルギー物質を含む食品に関する表示の充実、建物構造等の改善の推進その他生活環境を進めています。

国が重い腰を上げようやくアレルギー疾患に対し取り組んでいこうとしています。今回、法律は制定されましたが、細部は厚生労働省で設置される「アレルギー疾患対策推進協議会」で図られ決められていきます。生活環境の改善でいわれている、大気汚染の防止、森林の保護・整備、食品表示の充実、建物構造の改善など、いままで各省庁がそれぞれに取り組んできたことが、厚労省を中心として共同で行うとされています。


多くの子どもを含む人が悩んでいるアレルギー疾患が、より多くの人にその内容が理解され認知されるとともに、一日でも早く発症者の悩みが身体的・精神的に解決される事が望まれます。


2014年6月25日水曜日

「アレルギー疾患対策基本法」(2)

この基本法の【基本理念】は次の四項目です(要旨)。
.アレルギー疾患は生活環境に係る多用かつ複合的な要因によって発生し、かつ重症化す
る。重症化の予防及び症状の軽減化のため、基本的施策その他関連施策の総合的な実施
により生活環境の改善を図る。

.アレルギー疾患を有する者が、地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく適切なア
レルギー疾患医療を受ける事ができるようにする。

.国民が、アレルギー疾患に関し、適切な情報を入手することができるとともに、アレル
ギー疾患にかかった場合、その状態、環境に応じ生活の質の向上のため支援を受ける体
制の整備をおこなう。

.アレルギー疾患に関する専門的、学術的又は総合的な研究を推進し、重症化の予防、診
断、治療等に係る技術の向上やその他の研究等の成果を普及し、活用し、及び発展させ
る。

この基本理念に基づきアレルギー疾患対策に関し、国の責務・地方自治体の責務・医療保険者の責務・国民の責務・医師等の責務・学校等の設置者等の責務を夫々定めています。
「国、地方自治体の責務」としてアレルギー疾患対策を策定し及び実施する事と明確にし、
また「医療保険者の責務」として、疾患の重症化の予防及び症状の軽減に関する啓発及び知識の普及に協力する事としています。

「国民」はアレルギー疾患について正しい知識を持ち、重症化の予防及び症状の軽減に必要な注意を払うと共に、発症者に対し正しい理解を深めるよう努めなければならないとその責務を定めています。

「医師等」はアレルギー疾患対策に協力し、重症化の予防及び症状の軽減に寄与し、疾患者の置かれている状況を深く認識し、化学的知見に基づく良質かつ適切な医療を行う事としています。

「学校等の設置者等」は、学校や児童福祉施設、老人福祉施設、障害者施設等において、自ら十分な治療に関する行為を行うことができない児童、高齢者又は障害者が利用する施設の設置者又は管理者は、適切な医療的、福祉的又は教育的配慮を行うとしています。


学校や施設の管理者に「適切な医療的、福祉的又は教育的配慮」に努める事を求めています。



明日に続きます。


2014年6月24日火曜日

「アレルギー疾患対策基本法」(1)

2012年に東京都で乳製品アレルギーの女児が給食後死亡した事故がありました。このことなどから、アレルギー疾患に対する総合的な施策が求められてきました。

「アレルギー基本法(アレルギー疾患対策基本法)」が620日に成立しました。この法律は、アトピー性皮膚炎や花粉症など急増するアレルギー疾患への対策指針策を国に義務付ける法律です。

法律の目的は(要旨)「・・アレルギー疾患が国民生活に多大な影響を及ぼしている現状及び、生活環境に係る多様かつ複合的な要因により発生し、かつ、重症化することに対し、アレルギー疾患対策に関し、基本理念を定め、国・地方公共団体・医療保険者・国民・医師その他の医療関係者及び学校等の設置者等の責務を明らかにし、並びに疾患対策の推進に関する計画の策定を定め、総合的かつ計画的に推進する」とあります。


この基本法ではアレルギー疾患を、第二条で「アレルギー疾患とは、アレルギー性気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、花粉症、食物アレルギーその他アレルゲンに起因する免疫反応による、人の生体に有害な局所的又は全身的反応に係る疾患」としています。


明日に続きます。



海へ溶ける? 発泡スチロール(2)

【スチレンオリゴマー(SO)】の一部については生殖器や脳の発達を阻害する「環境ホルモン」作用があるという研究が1997年に発表されています。

海洋の漂着ゴミは世界全体で年600700万トン発生していると言われています。ポリスチレンから作られる発泡スチロールは、多くの食品容器などに使われていますが、100度以下では分解しにくいとされてきました。
しかし、「プラスチック製品は常温では、分解されないと考えられていたが、実は少しづつ分解され、周囲に化学物質を放出させており、海洋では実際には汚染が進んでいる証し」との声も上がっています。

日本スチレン工業会の話しでは「国内外の複数の試験機関に依頼した研究で、スチレンオリゴマー(SO)には環境ホルモン作用は認められないとう結果が得られている。人体には影響もない」との事です。


しかし一方で「海洋での漂流プラスチックの一部が化学物質汚染を引き起こしている研究成果だ、生態系への影響を解明すべき」との声もあり、更なる影響評価が待たれます。

2014年6月23日月曜日

海へ溶ける? 発泡スチロール(1)

梅雨の季節ですが、海水浴シーズンの幕開けです。

産業技術総合研究所のグループの調査で、世界21カ国・地域の海水や海岸の砂から、発泡スチロールが溶け出たとみられる化学物質が検出されていたことが分かりました。

脳などの発達に影響する恐れが指摘される物質も含まれ、未知の海洋環境汚染が地球規模で広がっている可能性を指摘しています。

10年前から各国の海岸267地点で調査を始め、発泡スチロールの原料の【ポリスチレン】が分解してできる物質【スチレンオリゴマー(SO)】の有無や試料の分析結果をまとめ、

その結果SOは全ての調査地点の海水と海岸の砂から検出されました。
研究グループは発生源を突き止めるため、実験を重ねその結果、海から検出されたSOは、海岸に漂着したポリスチレンが分解されてできたと結論づけています。



明日へ続きます。



2014年6月21日土曜日

東京都「ソーラー屋根台帳」(3)

家庭で消費するエネルギーは、その約半分が給湯や暖房などの比較的低温な「熱」の用途に使われていますが、低温熱には熱エネルギーを直接利用することが効率的と言われており、「熱には熱で」の考えかたには、太陽熱や地中熱などの,再生可能エネルギーによって生み出される熱で賄う事が、今後ますます重要になってくると言われています。
このシステムは誰でも自分の住まいでの太陽光・太陽熱を利用した場合の数値がある程度読みとれるので、太陽光発電などの設置についての可否の判断がしやすくなります。

現在は東京都だけですが、日本各都市でも同じようなシステムを利用できるのもそう遠くない時期と思われます。



2014年6月20日金曜日

東京都「ソーラー屋根台帳」(2)

「太陽光発電システム」の場合、実際に住所を入力すると【建物のポテンシャル情報】として次の回答が得れます
  ・<日当たりの良さ>:適合度(年間予測日射量)*****KWh/㎡・年
 ・<ポテンシャル >:太陽光発電システム
   :設置可能システム容量(推定)**KW   :年間予測発電量**KWh/
   :一般家庭の電力需要換算**世帯分 :年間予測CO2削減量**tCO2/
 ・<建物データ>
   :建物ID        :算出対象屋根面積 ***


自分の家に太陽光発電を考えた時、手軽にある程度の予測値が得られので、大いに活用されるべきと考えます。
また、同様に「太陽熱利用システム」でも、同様な予測値が得られます。


明日へ続きます。


2014年6月19日木曜日

東京都「ソーラー屋根台帳」(1)

2020年の「ゼロエネ」基本計画ではクリーンなエネルギーが求められており、その筆頭が「太陽光発電」です。
東京都では(公)東京都環境公社と連携し、都内の建物がそれぞれにどの程度、太陽光発電などの設置に適しているかが、一目で分かるウェブ上のデータベース「東京ソーラー屋根台帳」(ポテンシャルマップ)を全国で初めて開発し公開しました。


この「東京ソーラー屋根台帳」は、建物一棟ごとにID番号をつけ、その建物ごとに、太陽光発電のへの適合度を色分けし、分かりやすく表示。
また、太陽光熱利用システムの適合度も併せて表示します。
このシステムでは、航空測量データを用いて実際の建物を3次元で解析し建物ごとに予測される日照量を分析し、それぞれの屋根の傾斜や、近隣の建物などによる日影の影響なども考慮して、太陽光発電などへの適合度を算出します。


明日へ続きます。