2014年11月26日水曜日

札幌市児童の喘息と自宅暖房器具の排気管等の関連について

北海道大学環境健康科学研究教育センターでは、20148月【札幌市児童の喘息と自宅の暖房器具の排気管および機械換気との関連】について発表しています。

日本や海外で過去20年間で児童喘息の有病率が増えており、様々な疫学研究によって、子どもたちをとりまく室内環境が、喘息発症の大きい要因になっていることがわかってきており、その中でも、固体燃料や生物燃料の暖房による室内空気汚染が児童喘息のリスクになること、また、暖房に排気管を使用すると、児童の喘息は減少することが報告されています。今回の研究は、小学生を対象とし、暖房の燃料・排気管の有無・機械換気の有無と喘息症状の関連を明らかにすることを目的にしたとの事です。

今回の研究は200811月~20092月にかけて、札幌市内公立小学校12校の1-6年生6.393名を対象とし、60.6%の3.874名の回答を分析しました。

喘息症状がある児童は12.8%で、喘息症状のリスクは、電気の暖房器具を使用している場合と比較して、ガスや石油などの暖房器具で排気管(煙突)はあるが機械換気のない場合には1.62倍、排気管はないが機械換気はある場合は1.77倍、排気管も機械換気もない場合は2.23倍高くなったとの事です。

また、これまでに喘息のリスクをあげることで知られているダンプネス(湿気がありじめじめした状態)の有無での調査では、ダンプネスがあってもなくても電気の暖房器具を使用している場合と比較して、排気管がない場合や換気設備のない場合には、喘息リスクをあげることがわかりました。

電気の暖房器具と比較して、ガスや石油の暖房器具を使用した場合に喘息のリスクは高く、
その理由として、燃料を燃焼させることにより放出される二酸化炭素、二酸化硫黄、及び粒子物質(PM)などが喘息症状の要因となっています。
排気管のない暖房器具を使用する場合、または、暖房を使用している時に機械換気をしないことも、児童の喘息に症状に大きな影響があるとの事です。

報告では、「北海道は冬が寒く、住宅の気密性が高いため、喘息予防のためには、電機以外の石油やガスを燃焼させる暖房を使う場合、特に排気管のない家では、十分に換気に注意が必要」と結んでいます。

北海道に限らず、東北や北陸では電気以外のガスや石油を熱源とする事は恒常的です。報告書による、児童喘息へのリスク回避のため排気管の設置や換気に充分気を付けましょう。


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